2020年4月11日土曜日

財政再建の名家老・河合道臣

河合道臣(寸翁)

江戸時代後期、財政難で苦しんでいた姫路藩主・酒井忠道は、当時の家老・河合道臣(どうしん・後の河合寸翁)に財政再建の命が下します。河合道臣は、質素倹約令を布く大々的な改革を行い、領民に米を無利子で貸し与えたり、低金利で生活資金を融資したりという画期的な金融政策を行いました。また、いざというときのために共有の米を保存する固寧倉(こねいそう)を姫路藩内に288ケ所設けられたそうです。現在、野里・東山・刀出等8か所に建造物が残っています。また、姫路城下の木綿業者らと共に「木綿会所(現在の広島銀行姫路支店前)」を作り、木綿を「玉川さらし」という姫路藩の特産品として、大坂(大阪)の商人を通さず、直接江戸で販売する方法を考案し、財政の立て直しを図りました。そのおかげで、藩の収入の7倍あった負債を27年で完済しました。
木綿会所跡(姫路市綿町)
河合寸翁像と寸翁神社
寸翁神社
姫路市本町83
一方、茶人として有名だった姫路藩家老・河合寸翁(すんおう:道臣)は、お茶席には欠かせない和菓子造りのため、姫路の菓子職人を江戸や京都に、また、南蛮菓子を学ばせるため長崎の出島に派遣しました。それが現在の姫路の菓子つくりの原点となり、姫路銘菓「玉椿(名付け親:河合寸翁)」や「播州かりんとう」の原型を作りました。このように、河合寸翁の功績は大きく、姫山公園内にある姫路神社に酒井家歴代姫路藩主とともに、寸翁神社として祀られています。享年75歳
姫路銘菓「玉椿」
姫路城凍って寒からず「小説・河合道臣」
著者:寺林 峻
主な登場人物
河合道臣(姫路藩主酒井家家老)
高須隼人広長(酒井家上座家老)
国府寺次郎左衛門(国府寺本陣主人)
泰子(たいこ:道臣の妻)
酒井忠道(ただひろ:姫路藩主)
村田継儒(道臣の旧友・儒者)
酒井抱一(姫路藩主酒井忠以の弟・絵師)


2020年4月9日木曜日

軍師官兵衛(播磨灘物語)

軍師官兵衛

2014年放送されたNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」でお馴染の黒田官兵衛は、大きな転機となるのが羽柴秀吉との出会いでした。播磨の豪族達が、毛利か、織田か、で揺れ動く中、織田に付くよう主君・小寺氏を説得。信長の命で秀吉に従うことなった官兵衛は、毛利攻めに向かう秀吉に姫路城を献上。それ以降、秀吉の懐刀(ふところがたな)として播磨を制定し、中国・四国・九州を征伐していきます。中でも、備中高松城の水攻めの際、本能寺の変で織田信長の死去が知らされ、肩を落とす秀吉に今が天下取りのチャンスと進言。「中国大返し」を実行させました。これらのエピソードからも、時代を見通す慧眼(えげん)の持ち主であったことが伺えます。また、戦国時代にあって、人の命をむやみに奪うことを嫌った官兵衛は、実戦だけでなく数々の戦で折衝にあたります。その中で、説得に赴いた有岡城で1年以上土牢(つちろう)に幽閉されましたが、秀吉を裏切らず忠節を貫いた「信念の人」でした。各地の戦陣で活躍した官兵衛は、1587年(天正15年)に九州征伐の論功行賞で豊前国の6郡を与えられ、豊前・中津へ移り、黒田家筑前52万3千石の礎を築きました。
黒田官兵衛顕彰碑
姫路市御国野町御着1142-2

黒田家墓所
姫路市御国野町御着1142-2

御着城本丸跡碑
姫路市御国野町御着1142-2

妻鹿城跡
姫路市飾磨区妻鹿

黒田職隆公廟所(びょうしょ)
姫路市飾磨区妻鹿字元宮372-1

キャスト

大河ドラマ「軍師・官兵衛」では、黒田官兵衛役に「岡田准一さん」、官兵衛の正室・光役に「中谷美紀さん」、織田信長役に「江口洋介さん」、信長の正室・お濃役に「内田有紀さん」、羽柴(豊臣)秀吉役に「竹中直人さん」、秀吉の正室・おね役に「黒木瞳さん」、徳川家康役に「寺尾聡さん」、明智光秀役に「春風亭小朝さん」が演じられていました
黒田家起源の地
姫路市広嶺山52廣峯神社内

姫路市広嶺山52廣峯神社内

播磨灘物語

司馬遼太郎の「播磨灘物語」は、黒田官兵衛の生涯を描いた歴史小説で、1973年5月から1975年2月まで読売新聞にも連載されました。


2020年4月2日木曜日

天守物語

天守物語・あらすじ

1917年(大正6年)、泉鏡花の戯曲の中でも屈指の名作といわれているこの作品は、白鷺城(姫路城)の最上階に異形の者たちが住むという伝説に由来。鏡花はこの伝説にその他の怪異譚(かいいたん)を巧みに織り交ぜて、美しい異界の人「富姫」と、この世の人間「姫川図書之介」との恋物語を描いています。坂東玉三郎監督・主演、宮沢りえ共演で1995年(平成7年)に映画化されました。2006年(平成18年)には、フジテレビ系列のTVアニメ「怪~ayakashi~」において「四谷怪談」「化猫」「天守物語」の3つの怪談の一つとしてアニメーション化されました。
姫路城大天守
白鷺城最上階の異界の主、天守夫人「富姫」が、侍女たちと語り合っているところへ、富姫を姉と慕う「亀姫」が現れ、宴が始まります。その夜、鷹匠・姫川図書之介(ずしょのすけ)は、藩主播磨守の鷹を逃した罪で切腹するところ、鷹を追って天守閣最上階に向かえば命を救うと言われ、天守の様子を窺いにやってきます。しかし、富姫に二度と来るなと戒められて立ち去りますが、手燭の灯りを消してしまい、再び最上階へと戻り火を乞います。すると富姫は最上階に来た証として、藩主秘蔵の兜を図書之介に与えますが、この兜から図書之介は賊と疑われ、追われるままに三度最上階へ戻ってきます。いつしか図書之介に心奪われた富姫は、喜んで彼を匿いますが、異界の人々の象徴である獅子頭の目を追手に傷つけられ、二人は光を失ってしまいます。
天守物語のあらすじは、2009年(平成21年)上映されたシネマ歌舞伎「天守物語」から抜粋しました。